きれいに整えられた庭を眺めていると自然と心に余裕が生まれ落着きを感じます。
庭木は、愛情を持って手を掛けてやれば、正直に応えてくれ、より良い恵みとなって私たちに還してくれます。
庭の様相を観れば、その家の"気"が伝わるとも言われます。
家の"気"を良くするものに"お庭の手入れ"も、欠かせないひとつではないでしょうか?

灯篭の宝珠(笠の上、燈籠の最上部) などは、取り除いておけるのなら、下ろして庭の片隅にでも保管しておきます。特に宝珠の上の角になった部分は、石材ですが両手鋏の柄で衝撃を加えただけでも折れてしまう場合があるので気をつけたいものです。
小さな灯篭なら灯篭ごと、安全な場所に移すこともあります。不安定な灯篭なら作業中に足元で引っかけても崩れる場合があるからです。
お隣の敷地内に切った枝葉が落ちないか確認しておく。
落ちるようであれば、事前にお隣宅へおことわり(ご挨拶)しておく。
このように前準備をして初めて剪定作業に入ります。
作業は、一般的にいちばん大きな庭木から、高木→中木→低木という順に進めていきます。
脚立の据え方ひとつで作業効率、安全性が随分と違ってくるものです。
上手な据え方は、適切な大きさの脚立を的確な場所に持って行き、移動する量を極力少なく作業を短縮化するように据え付けます。
。脚立の三点の足元がしっかりと落着いた箇所に据えられているか。(滑ったり、踏み外したりしないか?) また、傾けて据えられていないか? という安全面も十分に考慮して作業にとりかかります。
剪定道具の豆知識
◆脚 立◆
脚立には、足が3本で構成された園芸用三脚と通常の4本足の四脚とがあります。
剪定作業にはどちらが適しているのかというと
断然、三脚です。
私的には、剪定作業に関わらずどんな作業をするにも三脚のほうが使い勝手が良いですね。
「足が多いほうが安心じゃない?」とお思いでしょうが、
安心感、安定度から言って四脚より三脚のほうが優れています。
四脚は地面に設置する箇所が四点です。四点のうち一点の地面が凹んでいたら対になる二点が軸になって天秤状態になりバランスが悪く安定しません。
それに比べ三脚は、地面に少々の傾きがあっても三点で均等に支え合い安定したバランスを維持できます。また、庭内は、木と木の狭いスペースに脚立を据えなければならないし、足元には、灌木やら草花やらで足を持っていくスペースに限りがあります。その点、三脚だと狭い所でも設置が容易で安全面、作業効率から考えると断然、良いと思います。
◆植木鋏◆
植木鋏は、通常、次の4種類の鋏(ハサミ)を使い分けています。
大鋏(両手鋏)…「玉物仕立て」「段物仕立て」「生垣」などに使用。用途によってタイプがあり、噛合わせ時のストッパー付き、ストッパー無し。柄の長いもの短いもの。樹種によって使い分けられる薄刃と厚刃があります。マキ、カイズカ、サツキなど比較的柔らかい葉だけを刈るならシャープに刈れる薄刃タイプ。モクセイ、カシ、マサキなど葉と一緒に枝先の軸も刈込む場合は厚刃タイプが適しています。職人によっては、使い安くするために柄を適度な長さに切る人がいますが、闇雲に切ってしまうと柄の重みと刃の部分の重みのバランスが悪くなり、かえって使いずらいということにもなりかねません。一般的に素人さんから職人さんにでも使いやすいのが「岡常」の鋏で、幅広い用途で使われています。
剪定鋏 …ほとんどの枝を落とす場合は主にこちらを使用。いちばん使用頻度が高いですね。柔らかい枝ならφ30mm内外の太さでも鋸を使わず摘むことができます。
この鋏の特徴は刃の構造にあり、片側が枝を受けて抑え込む「受け刃」もう一方が刃渡りが湾曲状に弧を描く「切り刃」と言います。普通の鋏が両刃で挟み込んで、ある一点を抑え込んで切るのに対し、この刃の構造は、受け刃で枝を一点に固定し、アール状になった切り刃で引き切るようになっているので、力をあまり加えることなく、切り口を痛めることなくシャープに切断することができる優れた鋏なんですね。料理の際、お刺身をまな板に固定して包丁を手前に滑らすように引き切るのと同じ原理ですよね。例えがイマイチですが(発明した人はエライ!)
長刃鋏(片手刈込鋏)…段物仕立てなどの両手鋏だけでは刈込みづらい玉ものの裏側や狭い隙間の刈込みに重宝しています。また、トピアリーなどの造形刈りなどにも便利ですね。他の用途としては、木を移植するのに根を掘り取る際、根切りとして使う事もあるようで、そのため根切り鋏とも呼びます。(根切りに使うのには余りにも勿体無いような気がしますが。)
基本的には葉刈り用なので細い枝でも摘むことは極力しません。割と刃が薄いので丁重に扱わなければすぐ刃こぼれします。他の鋏はみんな大事なものですが、これが無いと仕事にならないぐらいに良く仕事をしてくれる鋏ですね。
木鋏(輪鋏)…
細かな枝、混み合った細い芽などを抜くときに使用。主に松の剪定、竹の透かし、スギ、ヒバ等の小枝の透かし、剪定鋏で入れにくい細かな枝抜きに便利。
形、刃の長さも多種類あるので自分の手にいちばんフィットするものを選びたい。
よく、石の上などに落として刃先を折る事があるが、大事に使えば一生物の逸品です。
◆ヘッジトリマー◆

昨今は園芸用機械器具も良いものが出回り仕事の効率化に役立っているようですね。
中には、"こだわり"のある職人さんも多々おいでになる様で一切そのようなものを使わないという方も珍しくありません。
…私は、有難く使わせて頂いております。文明の利器には柔軟に対応するタイプなんですね。
ヘッジトリマーとは、いわゆる植木用のバリカンであります。
エンジン式と電動式がありますが、個人宅にはエンジン式は騒音が酷いので不適切かと。
電動式ヘッジトリマーは、比較的、低音の上、軽量化されていますので扱いやすく、細かな葉の庭木を刈込むのに最適ですね。(カイズカイブキ、ツゲ、サツキツツジなどの刈込みに適しています。)
◆ブロワー◆

近頃のほとんどの植木屋さんが利用しているという必需品でもあります。清掃作業の強い味方。庭内の細かな落ち葉やゴミを吹き飛ばして片隅に寄せてゆき処理しやすくします。家庭用掃除機のように細かいゴミ落ち葉を吸い取るタイプもありますが、こちらはその逆タイプ…というか、こちらが正規の使い方なんですね。ひと昔前の職人さんは、手ボウキで草花の間や苔や砂利の上などを地道に手をかけて掃いていましたが、ブロワーが世に出てから、剪定後の清掃が格段に早くなりました。
しかし、あえて欠点を申しますと割と風力があるものだから、落ち葉と一緒に細かな砂や土なんかも飛ばしてしまうことがあります。根締めで地比類が植わっていたりすると砂土を飛ばして根を浮き上がらすこともありますので気をつけなければならないところです。
安全な作業を心がける
ここで言う安全とは、
「構造物の安全保護」と「職人自身の安全確認」の2点についてです。
◆構造物の安全保護◆
お庭周りには、住宅建物を含めて、多くの構造物があります。外壁、窓、室外機、瓦、フェンス、灯篭、門扉、外灯、庭園灯、植木鉢、狸の置物、などと様々です。
そのような構造物は、作業中に接触等で傷つけない様、十分な配慮が必要です。
よくありがちなのは、(よくあってはいけないのですが…。)
庭に脚立を持ち込む際に門扉や庭園灯に接触しての傷。
剪定枝の落下による植木鉢、置物などの破損。
灯篭の宝珠(とうろうの最上部)の角先に両手鋏の柄が当り、折ってしったり。
作業者は常に保護意識を持って周りに目を配り作業を進めなければなりません。
庭内で使っていない脚立は、極力寝かしておく。立たせておくにも構造物から離して倒れないように安定した場所で置いておく。
脚立を家の外壁に持たれかすなどは、以ての外。
灯篭の宝珠(とうろうの最上部)などは、はずして下に除けておく。作業の際に灯篭の笠などに絶対、足をかけない。屋根瓦に気をつける。大きな枝を落とす時は、植木鉢、置物を除けておく。庭園灯などは養生する。
当たり前のことですが、常に周りの構造物に気を配り作業に臨まなければなりませんね。
◆職人自身の安全確認◆
お庭の手入れの約半分以上が高所作業です。
公園やお寺の樹木剪定作業に比べ個人宅の庭木は比較的、木が小さく、ともすれば気をぬく事もありがちです。(不真面目ということではありませんが…)普段から高い所に慣れているせいか注意力が散漫になることもあるからです。
統計的に言うと比較的に高い木(5m以上)よりも低い木(3m以下)での事故(落下事故・落下未遂)の確率の方が高いようです。
それは、ほとんどの場合、不注意と手抜きが原因で事故に繋がります。
木が小さいからと言って心理的に甘くみているのでしょうね。
では、「不注意」や「手抜き」とはどういうことでしょう?
大半の落下事故・落下未遂の直接的原因は、「枯れ枝に足や手をかけた。」或いは「枝に足を滑らせた。枝をつかみ損ねた。」というものです。
*枯れ枝に注意!
経験の長い職人なら枯れ枝かどうかという判断はそう難しくは無いはずです。枝の被皮の色や水気のない乾燥感があり、だいいち葉芽が枯れ込んでいるからです。(中には、冬期の落葉樹の枝で一目で判断のつかない元気のない枝もありますが…)
枯れ枝はいくら太くてもサクいので負荷をかけると、しなること無く、一瞬で折れます。
枯れ枝と知ってか知らずに手(足)をかけたということは、気持ちに余裕が無く「つい、やってしまった!」としか言いようがありません。仮に「木に登って行くのにその枝しかなかった」というふうに無理を承知で手(足)をかけたなら、絶対に止めるべきです。
「急いでいて気持ちに余裕がなかった」というのは、不注意から来るものだし、
「無理を承知で…」というのは、"安全意識の手抜き"行為だと思います。
*木登りの基本は"三点確保"
登山の岩山登りの基本に「三点確保(三点支持とも言う)」というものがあります。
常に両手両足のうちの三点を確保しながら(動かすのは常に一点のみ)登っていく方法です。 安全登山のための基本中の基本なんですね。
木登りも同様にこの"三点確保"は安全な作業を進める上で非常に重要なポイントです。
"三点確保"をもう少し詳しく説明すると、
両足の2点を木の枝にしっかり乗っけて両手の2点で枝を掴まえた状態から、上へと移動していく際に
、まず足か手のどちらか1点のみを枝から離し次の枝へと持ち替える。(足の場合は置き換える)
しっかり持ち替えてから、また4点の内の別の1点の足(或いは手)を移動させます。
足の移動は、足とともに体の重心も次の枝にしっかりと移動して初めて他の1点を離すというようにします。
ここで重要なのは、1点だけを次の枝に確実に確保されたことを確認して初めて次の1点を枝から離すことを徹底しなければなりません。
このように4点の内、3点の手足は常に枝を掴まえており、移動中に片手が枝を掴み損ねても、片足が枝を滑らせたとしても、常に3点で確保しているので落下の確率は極めて低いということになります。
*脚立の安全な据え方
脚立を使って作業する際には、3点の足元を十分に確認しておかなければなりません。
特に1本足を据えるときは、木と木の間や下草、灌木などで足元が隠れてしまい状況が見えない場合がよくあります。よく見ると不安定な小石の上に乗っていたり草花をふんずけていたり、滑りやすいものに乗っていたりで非常に危険なんです。特にタイルの上なども滑りやすく、1本足の設置には注意が必要です。
私も疲れが溜まっていると面倒臭くなり「大丈夫だろう」と安易に見過ごしてしまうことがあります。
そんなときは、だいたい不安定な据え方をしているものです。
3点の足元を常に確認する事。確認!確認!これに尽きますね。